通訳案内士さんへインタビュー(1)10年間で感じる日本観光

【外国人観光客と関わる方へインタビュー!】企画!

これからの【観光】を考える上で、日本を知るために、他の国の価値観や、他の業種の人や、仕事に触れて、今までの習慣をもう一度見直すきっかけに。(過去記事:「観光を考える(3)あなたの場所の【珍しい】は?今やること。」)

今回インタビューさせて頂いたのは、関西を中心へ全国でも通訳案内士として活躍されている 末石 靖知(すえいし やすとも)さんです。関西でいち早く海外からの個人旅行者向けウォーキングツアーを始めた団体【オールスター大阪ウォーク】にも所属。まだ、大阪でインバウンド対応しているお店が少なかった頃から、丁寧にお店を開拓し、多くのゲストへ日本の魅力を紹介されています。

英語・中国語の2言語での観光案内が出来るため、国籍問わず、世界中から訪れるゲストを日々迎えられています。そんな末石さんだからこそ感じる、国ごと旅の傾向や、興味の違い、そして日本の魅力に至るまで、様々なお話を伺わせていただきました!

英語と中国語で世界中から訪れるゲストへ日本の魅力を!

劉:いつ頃から通訳案内士をされていますか?

末石さん:2009年に(国家資格)通訳案内士の資格試験を受けて、正式に登録したのが2010年2月です。ちょうど今年で10年経ったことになり、今は11年目になります。

 

劉:2010年と言えば、ちょうど中国人団体旅行も増えていく中で、中国人の個人観光ビザも解禁された年ですね!当時はやはり団体旅行が主ですか?

末石さん:はい。当時は団体旅行がほとんどでした。通訳案内士は旅行会社から依頼されて案内をする「下請け」という位置付け。でも、この10年で大きく変わりましたよ!

 LCCや、agoda,Expediaのようなオンライン旅行会社(OTA)、旅行口コミサイトが急速に普及するようになって、旅行会社を通じて手配していたものが、個人で手配できる環境へと変化しました。それに伴って、私たちの仕事も、旅行会社を通さなくても、個人で営業し、お客様と繋がれるようになったんです。

 

旅行者が直接選べる時代に

劉:個人で情報を発信し、個人が選ぶ。とても痛感しています。ただ、誰もが発信できるようになったことで、選択肢が本当に本当に多くなりました。その中で、「選ばれる」には何がポイントだと考えますか?

末石さん:やはりたくさん選択肢がある中で選ばれると言うことは、こちら側に「選ばれる魅力」がないといけない。旅行会社を通さず直接仕事に繋がる事はメリットだけど、それだけの価値を返さないといけないと言う責任は大きくなっています。常にブラッシュアップして、選ばれる価値を高めるようにしています。

お着物姿でガイドするのが末石さん流

劉:旅行者はどう言うところを「選ぶ決めて」にしてると思いますか?

末石さん:私の場合だと、今までの経験があるので、その経歴やファーストコンタクトの印象でしょうか。ただ、実際のところはほとんどが「過去に私がガイドを務めたお客様からの紹介」です。

 紹介で仕事が来るのは、その方が私のガイドに満足してくれていたという事なので嬉しいですし、紹介でいらしてくださる方にもさらに満足して貰えるように私も頑張れる。「良い循環」として全てが巡っているような気がします。発信手段が増えた分、情報は埋もれてしまいがちです。次のお客様にしっかり繋げるためにも、実際に体験したその人からの口コミ。「体験に勝る信頼」が一番だと感じています。

 私の場合は、語学力や日本文化の知識も勿論そうですが、パッと見て日本らしさを感じれるように「着物を着てガイドする」スタイルで楽しんで貰うようにしてます。

劉:お客さまの視点で、楽しんで貰えるために「他と同じではない、独自のサービス」ですね!

外国人と接する仕事の楽しみ

劉:今の仕事でどういうところが面白いですか?

末石さん:毎日いろんな国の方に出会える事です。それぞれ異なる文化背景の視点で日本を見ると、興味のポイント、喜ぶことが全く異なっています。私は逆にお客様の文化を知れて、毎日勉強させてもらっている。私は日本文化を伝える側なんですが、相手から教わることが多くて、それがこの仕事の魅力だと思います。

劉:今、日本では「日本らしさ」「日本の良さ」を伝えたいと思っている方が多くいらっしゃいます。末石さんは多くの国の方と接してきた中で、どんなところが「日本らしさ」「日本の良さ」だと思いますか?

末石さん:そうですね・・・実は私はあまり好きではないんですが、一時ブームになった「おもてなし」。この言葉はおもてなしする側が使うのではなくて、もてなされた側が感じてこそ価値があると思ってて・・・一時街中でこの言葉が氾濫していて、本質のない押し付けのようで好きではないのですが。。。

ただ正直なところ、日本の観光の良さは「もてなす心」だとは思っています。

 それぞれの国の文化・歴史がある中で、「日本らしい」と感じるのは細やかな気遣いや、ちょっとした一言から感じる「こうしてあげたい・ああしてあげたい」と相手を想う心。人が暖かい国だったなぁと思って貰えることが一番嬉しい。

 今ではオンラインで調べれる、買える時代の中で、実際に来てみないと得る事が出来ないモノは「人とのコミュニケーション」。現地の人との対話を通じて、人を魅せる。想いを体験する。そこから感じれる日本人の暖かさ(もてなす心)。それが私が一番重視して「日本らしさ」として海外から訪れる旅行者へ伝えていることです。

(次へ続く・・・)

 


現在誰もが自由に発信し、自由に選択ができるようになったからこそ、人が求めているのは、信頼できる情報、人がみえるサービス。数あるサービスの中で、「選ばれる」には・・・多くのヒントがあったんじゃないでしょうか?

次は、多くの国の方に日本を紹介しているからこそわかる!「国ごとの違い」について伺ってますよー!お楽しみに!!!

 

 

記事を書いたのは私:
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外国人観光客研究所のサイトにお越し下さり、ありがとうございます。
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ABOUTこの記事をかいた人

劉 賞美(Liu Shangmei)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。
2002年より中国の国営貿易商社、中国中紡集団公司(北京市)の日本法人会社にてアパレル生産管理、中国工場管理、貿易事務、社内中国語講師担当。
当時一般客へのVISAが下りにくい中、出張で来日する中国人の通訳と観光のアテンドなども行う。
退社後は、中国語の個人レッスンをベースに2010年より中国語グループレッスン、日中語学交流会を現在も主催・運営しており、パナソニックセンター大阪にて中華圏の企業、行政機関向けのB to B通訳を担当。
また、高島屋百貨店にて訪日外国人を対象とした通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。
日々、外国人観光客を集客している店舗様へ足を運び、また時に外国人観光客や、在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。