インバウンド向けの「コト消費」を考えてみる!

「モノ消費」から「コト消費」へ・・・・

 

この言葉、日本人消費者にだけでなく、インバウンドの方の消費に対しても、よく耳にするようになりましたね。

 

「コト消費」=「体験」と表現することが多いですが、「体験」とは一体なんなんでしょうか???

 

温泉や、スキー、スノーボードなどスポーツ、そして文化体験、自然体験なども勿論、体験です!ただ最近、それ以外にインバウンドは「モノからコト」だから・・・と、「とりあえず日本ぽいことをする」体験を「コト」として打ち出している場面も見ますが、みなさんがイメージされている日本っぽい「体験」は外国人向けに少し特別になっていませんか?

 

今日はちょっと視点を変えてみて、普段の皆さんの生活をイメージして読んでくださいね!

日本では「モノが売れなくなった」と言われ続けて・・・

2000年以降、インターネットの普及とともに「モノを所有する」時代から、「サービスを利用する」時代へと移り変わっています。

 

お店に足を運んでモノを買っていたお店にある物の中から選ぶ時代から、日本では1997年にサービスを開始した楽天市場がオンラインショッピングモールとしてまず注目され、その後一気にインターネットを通じた買い物の選択肢が増えました。沢山の良いもので溢れている「モノの飽和状態」が続いています。

今では生活をする上で必要なモノは、既に所有している時代。

 

2007年度に内閣府が実施した世論調査によると「物質的にある程度豊かになったので、これからは心の豊かさやゆとりのある生活をすることに重きをおきたい」と答えた人の割合が62.6%、一方で「ものの豊かさ(まだまだ物質的な面で 生活を豊かにすることに重きを置きたい)」と答えた方は28.6%でした。モノだけでなく、心の豊かさを求められるようになり、【ただ売るだけでは売れない】ため、新しい価値の提供が必要となって行きました。この頃から、百貨店などで「コト」イベントや、モノだけでなくストーリーを伝える売り場が増えたも印象的です。

 

2008年10月に観光庁発足。そして観光客で流れが変わる。

2006年12月に「観光立国推進基本法」が成立、2008年10月に観光庁が発足しました。(この期間に通訳案内士の資格を取ろうか悩んでいたことを思い出します・・・余談ですが。)実は、私たちが携わっている「EXPLORER MAP」も2008年10月が創刊なんです。

 

2003年よりビジット・ジャパン・キャンペーンを行っていてましたが、当時はまだまだインバウンドと言う言葉を知っている方が少ない頃。街の雰囲気としては、日本人のお客さんに対してより安く提供する価格競争に入っているお店が多くなっていく中で、それを避ける為に商品・サービスに付加価値をつけて提供するお店が増えつつあるような状況でした。「モノからコトへ」そんな言葉も耳にするようになっていました。

 

このような中で、「日本人が所有しているモノを珍しいと感じる」外国人観光客が日本へ多く訪れる流れが到来したのです。

 

外国人観光客からすると、日本のモノは「珍しい・所有していない」欲しいもの。

 

そこで、観光客がモノを買う。「売れる」ブームが起きました。

日本も外国もモノが飽和状態なのは同じ。

本来であれば、モノが飽和している時代。それでも、他にはない価値を追求しているからこそ、選ばれる商品が残っていく訳ですが、ここ数年、手放しでも「日本のモノが珍しい」と買っていく観光客の存在で、「ただモノを売っていても売れる」と言う考えのまま、インバウンドの購買力に頼ってしまっているお店も見受けられます。

 

さて、それは続くのでしょうか???

 

下の図は、ここ数年の外国人観光客の買い物の様子から感じる流れをまとめた図です。これは1商品としてイメージもできますし、1店舗・1サービスとしてもイメージできるかと思います。

訪日数・消費額でも一番の中国を例に挙げてみます。個人の観光ビザが緩和された2010年〜2015年ごろを振り返ると、商品で言えば、圧倒的に家電用品。中国で炊飯器やウォシュレット付き便器など、当時中国にはなかった商品(珍しい)がよく売れ、その後中国国内でも良い商品が生まれ,選択肢が多くなり(飽和)、当時のような買い物は今では少なくなりました。

同じく10年ほど前、日本人向けに価格競争期に入っていた様々なお店が、観光客の購買を機に、値段を従来ほど大幅に下げなくても売れるようになりました。(観光客にとって、その商品・サービスが「珍しい=価値がある」と感じられた為)

それが同様の商品・サービスが多く提供(所有される)するようになった(商品・サービスの飽和状態)、観光客向けにも価格競争が一部でおこっています。

 

お気づきになりました???

そう。先ほどの図は、結局は日本人がモノを買っている様子となにも変わらないんです。

日本でも「モノ消費」「モノ売り」から「コト消費」「コト売り」へとシフトして行っています。

体験=「日本らしさ」だけが「コト消費」ではありません。絶対に「日本らしさ」を感じさせなくても、普段日本に住むたちが、買い物をするときに求めている「体験(コト)」が、外国の方にとっても、心に残る・欲しくなるポイントだったりするんです。

 

インバウンドの方からも支持され、リピーターが出来るお店・サービスを作っていく為に・・・さぁ、何を大事にして打ち出すといいでしょうか。

 

 

リピート客が絶えないお店をみていて、いつも思う事を今日は共有してみました。あなたのお店が、目の前の方の心に残る場所となりますように。

 

記事を書いたのは私:
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外国人観光客研究所のサイトにお越し下さり、ありがとうございます。
このサイトは 大阪初の外国人観光客向け多言語観光MAP「EXPLORER MAP  (旧EXPLORER OSAKA/旧 EXPLORER KYOTO)」の広告販売、及びインバウンドプロモーション、コンサルティングを手がける株式会社エースブリッジが運営しています。
外国人観光客研究所では、私たちが関わってきた店舗さま等の事例から、訪日外国人旅行者の集客方法、おもてなし、ニュース、インバウンドビジネスに関わる様々な情報を発信するだけではなく、普段の私たちの様子など私達らしい視点で、楽しく綴っています。インバウンドのお客さんをもっと身近に・・・日本らしさを楽しみながら、外国の方とも楽しく接していけるお力になれますように・・・。

 

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

劉 賞美(Liu Shangmei)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。
2002年より中国の国営貿易商社、中国中紡集団公司(北京市)の日本法人会社にてアパレル生産管理、中国工場管理、貿易事務、社内中国語講師担当。
当時一般客へのVISAが下りにくい中、出張で来日する中国人の通訳と観光のアテンドなども行う。
退社後は、中国語の個人レッスンをベースに2010年より中国語グループレッスン、日中語学交流会を現在も主催・運営しており、パナソニックセンター大阪にて中華圏の企業、行政機関向けのB to B通訳を担当。
また、高島屋百貨店にて訪日外国人を対象とした通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。
日々、外国人観光客を集客している店舗様へ足を運び、また時に外国人観光客や、在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。