インバウンド広告って?(2)「紙」×「WEB」

最近マーケティング業界の中では、「アナログ」と「デジタル」を組み合わせたマーケティング施策について話題になる事が度々あります。

 

先の中国のモバイル使用状況についてご紹介したブログを見ても分かるように1日の内に触れる情報量が多い為に、「情報の読み込みに至らない・日々更新される情報に埋もれる」、「容易に広範囲に拡散できるが、容易に情報が流されていく」と感じる場面が観光客と接していると見受けられます。→中国のスマホ利用時間が1日で平均6時間?!

 

ウェブ広告と紙媒体を比較する際、「情報の拡散力の違い」・「拡散状況を可視化できる」点で、 ウェブ広告が注視される傾向がありましたが、日々情報が流れていくインターネットの舞台で発信するだけでは、弱いとされる事があります。そこを紙媒体と掛け合わせて、「記憶に残す=認知の助けとする」ことを狙っていきます。

 

広告をする上でのキーワードは反復訴求ができているか

既に人気のある所ほど、ウェブが強い。

インターネット上では、掲載数が多い所ほど目につきやすくなります。現在では、世界において、口コミ、個人の発信が活発に行われている為、既に人気のある所は自然と目につきやすく、よって、自発的に反復訴求がなされている状態になります。

 

ではまだ海外からの認知がない場所・お店は・・・

まだ認知がない分、意図して人の目に触れる為に、何度も繰り返し、長期的な発信が必要となってきます。ここで、注目したいのが、紙媒体です。

所有する情報「紙媒体」

印刷物に関する論文では、様々な表現がありますが、インターネット上の情報と大きく異なるのは、「所有している情報」である事。紙媒体を読んでいる際、見ているだけではなく、触覚、周りの音などその場の環境も含めて記憶に残るとも言われています。

反復訴求という観点でいうと、「所有している期間内は、目にする事ができる」という事が強みです。ただし、これは観光客が必要な情報が、その紙媒体にある場合のみ。不要な場合は、所有しません。

その為、紙媒体には「持っておきたい」と思わせる多くの情報が掲載されており、観光客にとって必要なものである事が前提です。また、発行部数ではなく、確実に観光客に届く流通があることが約束されているのも重要となります。「所有されていること」でようやく意味をなします。

さらに、ウェブとは異なる紙媒体だからこその強みに、「一面で全体図を視覚的に印象に残す」事が言えます。旅先で使うスマートフォンのディスプレイではエリア全体の絵を描きにくい分、紙を大きく使う事で、全体像を一面で伝える事ができます。

まだ認知の少ないエリアでは、スポットだけを紹介するよりも、エリア全体の魅力を伝える事で、興味を持ってもらえる手がかりとしたいものです。

毎日、新しい観光客が私たちの街にいます

「認知の少ないエリア・店舗を知ってもらう」事は、「知ってくれる観光客を日々増やして行く事。」

私たちはどうしても日本人向けの広告発信と同じ思考で考えてしまいます。日本人向けだと、住んでいる絶対数に向けた発信ですが、観光客へ向けたアプローチとなると、この絶対数が異なります。

毎日街には新しい観光客が日本を訪れています。認知を定着させていく=毎日訪れる新しい観光客に向けて、「知ってもらう」を増やし続ける事。

だからこそ、長期的なアプローチが大事になります。今日の情報は、それだけでは来月訪れる観光客には届かない。それをイメージできるかどうかが鍵です。

海外旅行者→毎日の行動エリア・パターンが一定でない。

なので、日本人には有効でも、外国人観光客には不向きな広告があります。下に、簡単ですが、広告についてまとめた図を紹介して見ました。

日本人には有効なマス広告(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)は外国人観光客には不向きです。また、屋外広告や交通広告も旅行者は毎日の行動が異なるため、繰り返して目につく機会が少なく、日本で暮らす人ほどの反復訴求効果があるとは言えないものとなります。

ただ、交通広告を採用する際は、旅行者がどこに行っても目につくほどの広範囲な広告展開であれば、意味があると言えます。

*表にあるインターネット広告の内、「ディスプレイ広告」は、広告枠内に表示する広告を表す。「ネイティブ広告」はサイト内に広告と分からないように馴染ませた広告を指す。

情報誌・フリーペーパーの場合、所有している期間内、何度も目にする事が可能ですが、拡散力では発行部数が上限となりWEBに及びません。

インターネット広告やWEB上で展開するインフルエンサープロモーションは、拡散力はありますが、国ごとに発信が限られる事、また情報を受動的に触れる事が多いため、目につくためには繰り返し、長期的に発信する必要があります。

ここでのポイントは:

反復性=何度も目につく

能動的=自分で目的を持って情報を選択する(行動へ繋がる)

上記を踏まえた上で、「所有する情報」として必要とされる「紙」と、ターゲティングが出来、拡散力がある「WEB」を組み合したアプローチは、これから「認知を上げていきたいエリア・店舗」に向けて意味がある提案だと言えます。

 

2回に分けて、インバウンドの方に向けた広告について考えてみました。沢山の情報にあふれていますが、シンプルに継続できることを進めながら、日々訪れる観光客にあなたのお店や街を知っていただけますように。

 

記事を書いたのは私:
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外国人観光客研究所のサイトにお越し下さり、ありがとうございます。
このサイトは 大阪初の外国人観光客向け多言語観光MAP「EXPLORER MAP  (旧EXPLORER OSAKA/旧 EXPLORER KYOTO)」の広告販売、及びインバウンドプロモーション、コンサルティングを手がける株式会社エースブリッジが運営しています。
外国人観光客研究所では、私たちが関わってきた店舗さま等の事例から、訪日外国人旅行者の集客方法、おもてなし、ニュース、インバウンドビジネスに関わる様々な情報を発信するだけではなく、普段の私たちの様子など私達らしい視点で、楽しく綴っています。インバウンドのお客さんをもっと身近に・・・日本らしさを楽しみながら、外国の方とも楽しく接していけるお力になれますように・・・。

ABOUTこの記事をかいた人

劉 賞美(Liu Shangmei)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。
2002年より中国の国営貿易商社、中国中紡集団公司(北京市)の日本法人会社にてアパレル生産管理、中国工場管理、貿易事務、社内中国語講師担当。
当時一般客へのVISAが下りにくい中、出張で来日する中国人の通訳と観光のアテンドなども行う。
退社後は、中国語の個人レッスンをベースに2010年より中国語グループレッスン、日中語学交流会を現在も主催・運営しており、パナソニックセンター大阪にて中華圏の企業、行政機関向けのB to B通訳を担当。
また、高島屋百貨店にて訪日外国人を対象とした通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。
日々、外国人観光客を集客している店舗様へ足を運び、また時に外国人観光客や、在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。