京都町家ゲストハウス女将にインタビュー(2)ゲストを通して見えること。

【外国人観光客と関わる方へインタビュー!】企画!第三弾目は約100年続く町家を守り、旅人からも愛されている町家ゲストハウス錺屋(かざりや)御旅宿月屋(つきや)の女将 上坂 涼子さんにお話伺っています。

前回の記事では、多様性ある街を守るために出来た横のつながり、そしてクラウドファンディングに挑戦したことについてお話伺いました。→インタビュー(1)はこちら

 

今回は、ゲストハウスに宿泊されるお客さんについてお話を進めていきます。

 

日本人も、外国人も結局はクチコミ。

劉:錺屋さん、月屋さんの客層は開業から変化ありますか?

上坂さん:実は、客層は開業当初からずっと変わらないんです。日本人の方、海外の方、共に半々です。もしかしたら特殊かもしれませんね。日本人の方に至っては、毎月いらっしゃる常連の方も多いですし、海外の方も毎年お越し下さるリピーターも多いです。

 

劉:ゲストの方々は何がきっかけで錺屋さん、月屋さんを知ったのでしょうか?

上坂さん:開業当時は、まずこういった町家を利用したゲストハウスが少なかったので、町家ゲストハウスを求める方が紹介やウェブサイトから直接予約いただくことが多かったです。今も直接ご予約いただく方が多いのですが・・・最近では、日本人の方はSNSの写真がきっかけだったり、アメリカや中国など海外の方はAirbnbなど予約サイトを通じて連絡いただくことも増えてきました。

台湾の方に至っては、10年ほど前から個人旅行者が急増したんですが、そのタイミングでブログで紹介してくれたり、台湾の本、雑誌などメディアからの取材が度々あったので、それがきっかけで、今のリピーターの方とのご縁も繋がっている気がします。

日本人も外国の方も常連さんや、お越しいただいたゲストの方のクチコミきっかけがやはり多いです。有り難いですね。

実際に訪れた方の口コミがきっかけで、海外の雑誌、旅行本に紹介されていました。

劉:クチコミがあったり、リピーターがいると言うことは、そこで過ごした時間に満足されていると言うことなので、とても素敵なことだと思います。

 

どんどん日本人と同じ旅の仕方へ・・・

劉:外国のゲストに関して。旅の仕方に変化はありますか?

上坂さん:あります。昔は、観光プランをしっかり練りこんでいらっしゃる方が多かったですけど、最近の旅の仕方は日本人と変わらなくなってます。個人旅行に慣れた人が増えてきた印象です。観光地に行くばかりではなくて、カフェに行ったり、買い物をしたり、日本人と変わらず街をゆっくり楽しむ人も増えました。

劉:面白いですね!観光客(日本人・外国人)にとって、街の楽しみ方は同じなんですね!お話を伺っていると、上坂さんから「外国人観光客」に向けた力みを感じません。外国人観光客に特化しているわけではなく、日本人と変わらず、同じようにゲストを迎え、町家の素敵さをお伝えして、説明が必要な方には丁寧に説明している。

外国人観光客が急増したことで、観光=インバウンドと結びつけがちですが、「日本の観光」は誰にとっても楽しめるもの。自然体で、ゲストの方々を迎えていらっしゃる様子がお話から伝わります。

 

お互いに快適に過ごせる様に、「丁寧な説明」をプラス

劉: 例えば、外国人の方へ気をつけていることはありますか?

 

上坂さん:異なる文化圏の人間が一緒に暮らすからには、日本の習慣を知った上で「快適に過ごして貰う」のは大事です。まずは丁寧にお伝えをしています。町家は声や音が響くから、なるべく静かにお願いしたり、お風呂の使い方を説明したり・・・あと、私たちのゲストハウスは、アメニティがないので、ちゃんとシステムや、使い方の説明もしてます。

沢山ある施設の中で、選んでいただいているので、快適に過ごしていただきたい。丁寧にお伝えをしていると、ちゃんと理解してくださいます。単に泊まるだけではない価値は、関わりの中で生まれるのではないかと思います。それは、外国人の方に関わらず、日本人の方でも同じです。ゲストの中には、一人で宿泊されて、スタッフとじっくり話す人も、実は多くいらっしゃいます(笑)

 

劉:「お互いが快適に過ごす」ためには、理解して頂く「丁寧な説明」は大事ですね。きっと相手にも思いやりが伝わります。昨年、京都の「観光公害」について、度々ご相談を受けたのですが、迎える側のワンアクションがあれば、解決することもあります。ただNOを言うだけでなく、「理由のお伝え」の重要性について話す機会が多かったです。→特集「インバウンドコミュニケーション」

お風呂の使い方や水まわりの説明もしっかりと。

建物の”音”も味のひとつ。お互いが心地よい為にも説明を。

上坂さん:その「観光公害」について。京都の観光に携わるに人たちの間では、報道の仕方に違和感を感じてるんです。少し偏ってます。去年になって急に意図的な報道が増えましたが、私たちの肌感覚的には、去年よりも一昨年の方が、京都に宿泊する外国人観光客の数は多かった。「え?今さら?」と感じてました。

報道では、「公害」と言う言葉ばかりが先行して、外国人観光客が悪いと言った偏ったイメージがついている事が、とても残念です。

 

劉:そうですね。実際に、去年は祇園・錦市場の外国人観光客の訪問率は減少していました。令和元年(2019年)京都観光総合調査概要資料)(令和元年(2019年)京都観光総合調査

意図された報道や、言葉の印象に振り回されず、日本が好きで来ている人たち、受け入れる側の「お互いの快適の為に出来る事」を行動に移していきたいですね。

共同キッチンも使い方をお伝え。このキッチンは「あのコミック」の舞台となっています。。。。(次に続く)

 


「お互いの快適のため」と言う視点、長期的に観光を盛り上げて言う上で大事なポイントだと思いました。受け入れ側の快適だけ・観光する側の快適だけ、どちらに偏ってもどちらかが無理を強いられます。

また訪れたい場所であるために。

お互いの快適を目指したいですね!

 

最後は、「守りたい日本の魅力」について伺っています。私もインタビューをさせていただきながら、改めて「日本の素敵さ」を感じました。是非、ご覧ください。

 

 

 

記事を書いたのは私:
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ABOUTこの記事をかいた人

劉 賞美(Liu Shangmei)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。
2002年より中国の国営貿易商社、中国中紡集団公司(北京市)の日本法人会社にてアパレル生産管理、中国工場管理、貿易事務、社内中国語講師担当。
当時一般客へのVISAが下りにくい中、出張で来日する中国人の通訳と観光のアテンドなども行う。
退社後は、中国語の個人レッスンをベースに2010年より中国語グループレッスン、日中語学交流会を現在も主催・運営しており、パナソニックセンター大阪にて中華圏の企業、行政機関向けのB to B通訳を担当。
また、高島屋百貨店にて訪日外国人を対象とした通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。集客プロモーションの現場を重ねる。
日々、外国人観光客を集客している店舗様へ足を運び、また時に外国人観光客や、在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。