京都町家ゲストハウス女将にインタビュー(3)100年の暮らしを守る。

【外国人観光客と関わる方へインタビュー!】企画!第三弾目は約100年続く町家を守り、旅人からも愛されている町家ゲストハウス錺屋(かざりや)御旅宿月屋(つきや))の女将 上坂 涼子さんにお話伺っています。

 

前回は、集客のきっかけ、ゲストとの関わりについてお話を伺いました。→インタビュー(2)はこちら

 

最終回の今回は、守りたい日本の魅力について教えていただきました。見落としがちな暮らし中に、観光を発信するヒントが溢れていました。

「舞妓さんちのまかないさん」のモデルとなっているお台所

最近、NHKでアニメ化も決定した人気コミック「舞妓さんちのまかないさん」。京都の花街のお台所がの舞台となっているこちらの作品。実は、錺屋さんのキッチンがモチーフとなっているんです。建物から滲み出る趣ある雰囲気は、積み重ねた時間の賜物。日本には守っていきたい魅力がたくさんあります。舞妓さんちのまかないさんPV

 

もう一度、向き合いたい日本の魅力・暮らしの中にある『非日常』

劉:餝屋さんのSNSを拝見していると、「日本の丁寧な暮らし」を再発見できるので楽しみにしてるんです。Instagram:Kazariya_okami

 

 

 

上坂さん:錺屋・月屋を通して、京都の昔ながらの町家での暮らしを体感していただき、古いものをそのまま使うことや、その美しさを味わっていただけたら・・・と思っています。 「暮らし」そのものに日本の魅力が詰まっていて、特別なものではないでしょうか。

 

日本人の方もそうですし、海外の方も、館内をご案内した時に、興奮した表情で喜んでくださいます。すごく嬉しいです。私たちが心を込めてお掃除、お手入れをして守っている町家は、日本で守られてきた暮らしそのもの。

 

町家って、「木、竹、紙、土、石」で作られてるんです。全て自然のもの。お手入れに使うものなんかも、全部自然のもの。自然と調和した暮らしを昔の人は大事にして来られたんです。海外からのゲストの方が、驚かれるんです。「この扉は紙で出来てるの?!」って。重い扉に慣れてらっしゃるから、扉を閉める時、力が強いんですよね(笑)。「軽く閉めてくださいね」って伝えるんですよ(笑)

建物自体が生き物なので、ちゃんと大事に使うと、100年越えても使えるんです。

 

劉:「木、竹、紙、土、石」だけで作られてるんですね!!!すごい!最近だと、日本の一般的な家の寿命は30〜40年と言われてますもんね。それを考えるとこれだけ長く『生きている』家は、古くからの日本の文化を凝縮した貴重な観光資産だと思います。

興味のある方はどうぞ→京町家とその暮らしの文化(京都市)

 

 

劉:宿に関わる方々と楽しまれてる年中行事の様子も印象的です。

上坂さん:そうですね。八百万の神というか、日本の暮らしには常に感謝が伴っていて、それが年中行事にも表されています。ゲストの方々にも、どうしてこんなことするのかを説明することで、何気ない目に止まらなかったことにも感謝が生まれる。日本らしい素敵な習慣も守っていきたいと思います。この早い時代の流れの中で、立ち止まる時間。変わらず大事にされて来た事の価値、変わらない良さも宿を通して見つけていただきたい です。

毎年お正月は、実りある1年を想いながら、手作りの餅花で迎えます。

日本髪のある暮らし。髪結師さんによる髪結いのイベントも時々開催されています。

劉:何気ない日常の中に、日本ならではの文化、習慣があるんですね。暮らしている私たちでも、暮らしの一つ一つの意味を知ると、すごく特別で、大切に感じれます。当たり前過ぎて、見落としがちですが、意味を伝えるのはすごく大事ですね。

最後に、これからに向けて、オススメの京都について、そして心がけたいことについて教えていただけますか?

 

上坂さん:日本の良さは安全で、清潔、安くて楽しめる場所もたくさんあって、安心して楽しめることですね。京都の場合、自転車を使って、川沿いや寺社仏閣へ訪れたり、個性豊かな色々なお店やローカルな喫茶店巡りなんかも楽しいです。

私たちは宿屋として、これからも京都の暮らし、町家の暮らし、何気ない日常を発信し続けたいと思っています。そうやって、100年続いた町家を知ってもらって、町家とその暮らしを守ることがここで暮らす私達の役割やと思っています。

今まで通り、を続けたいですけど、そうもいかへんのかなぁ…。 続けれるところは続けて、変わるところは変わる。 案外ええこともあるかもしれません。

私たちの日々のリアルな発信がきっかけで、京都に行きたいなぁとか、京都に住みたいなぁとか、こんな暮らししたいなぁとか。そう思ってもらえたら嬉しいです。

自然と調和し、手間を少しかけて快適に暮らす知恵が日本にはたくさん


インタビュー当日は、雨でした。

普段なら、気にも留めない雨の音でさえ、町家の空間だと心地いい響きとして、身体に溶け込んで行くようでした。本来、日本が大切にしている『自然との調和のある暮らし』。立ち止まって、改めて体験してみると、いつもとは違う発見があるかも知れません。

それぞれの自治体で、地元の観光を応援する準備が始まっています。『地元に泊まる』・『地元を観光する』ことで、見逃していた観光の魅力を掘り起こせるかも知れません。きっとそれは、今後外国人観光客が日本を訪れるようになった時も、紹介したいと思える街の魅力だと思います。月屋さんで実施されている京都応援特別プラン:〜9月下旬まで

旅行をする側の目線で、旅を体験する。どんな発信が心に残るか、体感する。良かったら、この夏はそんな時間を作ってみませんか?

 

あなたの地元のお気に入りが増える夏になりますように・・・・。

 

暮らしと観光を考える素敵なインタビューになりました。有難うございました。

 

【外国人観光客と関わる方へのインタビュー】

●通訳案内士の方へのインタビュー

●包丁専門店・「タワーナイブズ大阪」さんへのインタビュー

 

記事を書いたのは私:
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ABOUTこの記事をかいた人

劉 賞美(Liu Shangmei)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。
2002年より中国の国営貿易商社、中国中紡集団公司(北京市)の日本法人会社にてアパレル生産管理、中国工場管理、貿易事務、社内中国語講師担当。
当時一般客へのVISAが下りにくい中、出張で来日する中国人の通訳と観光のアテンドなども行う。
退社後は、中国語の個人レッスンをベースに2010年より中国語グループレッスン、日中語学交流会を現在も主催・運営しており、パナソニックセンター大阪にて中華圏の企業、行政機関向けのB to B通訳を担当。
また、高島屋百貨店にて訪日外国人を対象とした通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。
日々、外国人観光客を集客している店舗様へ足を運び、また時に外国人観光客や、在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。