「それ」は伝えたい人の手に届いていますか?〜流通が大事〜

最近は、毎日「インバウンドに関するニュース・新サービスのニュースリリース」を目にします。

外国人観光客に対して、何かやったほうがいいと思っている方は、毎日飛び交う色々なニュースを目にすると、ただ焦ったり、混乱したりするのではないでしょうか?

実際に私も、発表されたニュースに対して意見を求められることが多々あります。例えば、日々発表されるインバウンドに向けた新サービスについて。そんな時、まず私が注視するのは、「”それ”はどのようにしてインバウンドの方々に伝わるか。」です。

 

インバウンド向け紙媒体・ウェブサイト・アプリは作ることは出来る!・・・でも???

お付き合いのある店舗さんのお話を伺うと、ことにインバウンド集客に向けた様々なサービスについては営業が絶えないようです。勿論、きっとそのサイト・アプリを使いこなせたら便利であろうものが本当に多いので、話を聞けば聞くほど迷って混乱してしまうようです。

 

とてもわかります。

 

いい商品はプロの方々の手によって制作することは出来ます。

 

ただ、「商品の内容の良さ」と、「流通(=ターゲットに届く。商品が使用される)」は全く違う分野のものです。いくら「良い商品」でもそれがしっかり「ターゲットに届く」ものでないと意味を成しません。この「ターゲットに届く」つまり「流通」がインバウンドプロモーションにおいて、一番の難所で、そこまでこだわっているサービスがどれだけあるのか・・・・と感じています。

 

インバウンド向け紙媒体

ウェブ上だけでなく、「所有する情報」は観光客にとって拠り所となる重要な媒体です。

過去記事:インバウンド広告って?「紙」×「WEB」(1)・(2)をご参照ください

紙媒体は印刷費が必要となります。協賛費・広告費・街の経費の範囲内で印刷可能な部数を、どれだけ手にとって「所有し続けさせることができるか」が鍵です。不要な情報であれば、すぐに捨てられてしまいます。どれだけ必要として所有させるか。そこにこだわって作っているものでないと、「一瞬手に取ったとしても、次に目を通さずゴミになる」=広告を何度も目にしてもらう機会がなくなる。2〜3年前にフリーペーパーが色々発行されていましたが、創刊号でそのまま終わったものや、2年内になくなってしまったものが多かったのも、この「流通」が弱かったことが理由だと思われます。

 

インバウンド向けウェブサイト・アプリ

まずはウェブサイトの場合、どれくらいの方がそのサイトを使用しているかが重要です。日本の会社が制作したインバウンドの方の為のサイトの場合、訪日観光客よりも制作サイドの関係者のPVが高かったりする場合もあります。訪日観光客がどのような形でそのサイトを知って、訪れているのか。そこを注視する必要があります。

 

そして、ウェブサイトよりも少しハードルが上がるのがアプリケーションです。

 

アプリの場合、制作サイドからすると、コントロールがしやすい点がありますが、観光客の視点で考えてみましょう。イメージしてみてください。私たちが普段行かない、慣れない国へ行った時、見知らぬ国の、安全かわからないアプリをむやみにダウンロードしようと思いますか?抵抗感ありませんか?

つまりそういうことです。2015年の「爆買い」が流行語になって以降、様々な「外国人にとって便利であろう商品」は開発されましたが、これも沢山なくなっています。どれだけ「認知」され、「使われる=ダウンロードされる」かがキーワードです。

 

そもそも、スマートフォン操作をする場合、自国で使い慣れているメディアの中で完結する。傾向があります。なので、日本で新しく開発した商品を、そのメディアになれない外国人観光客がわざわざ使用するのは、よっぽどの認知がある商品か、もしくは人からのオススメがあるからこそだと思っていいかも知れません。操作に慣れないものを、慣れない国であえて選んで使うかどうか。いずれも、もし自分が海外など見知らぬ土地へ行った時にどう感じるか。これが参考になったります。

 

今、迷っている「それ」はきちんと人の手に届く「流通」を持っているものですか?ウェブの媒体の場合、リーチ数だけでなく、どれだけ日本滞在期間中に目にされるものであるかもポイントです。

 

【商品内容の良さだけに惑わされない、「流通」つまり情報が伝わることにこだわる視点。】日々のリリースに焦らないで、まずはしっかりと今日目の前にいるお客さんをそれぞれの店舗で大事に出来ればと思います。

 

EXPLORER MAP秋号発行されました。

最後に、10月1日発行のEXPLORER MAPについてご紹介を

2008年の創刊以降、3ヶ月に1度の発行ごとに車にEXPLORER MAPを積んで、出版社チーム総出で1週間ほど時間をかけて対面でMAPを届け続けています。この秋号も無事、メインエリアのホテルさま配布致しました。このMAPに携わることで「流通の難しさ」と「重要さ」を実感していますが、とにかく流通にこだわっている紙媒体です。

限られた各号30万部(年間120万部)をしっかり使っていただける方へ届けるために、配布場所へ手配りする際に、それぞれの使用状況を見て、適量を分けて届けています。使用が少ないところには、最少部数で。そして、多く使っていただくところへは、まずは100部〜200部。そこからリクエストFAXをいただいています。

 

とても流通管理に手間をかけている媒体です。そこに今回、ラグビーワールドカップで日本を訪れている方に届けたい想いを乗せて、まだ紙面内でエリア展開されていない「神戸」のご紹介も加わっています。

よかったら、皆さんも手にとって周りの外国観光客の方へ届けてみてください。関西各所宿泊施設・案内所・観光施設(一部東京のホテル・空港)に800箇所を超える施設へ設置しています。また、いつも見本誌お届けしている方へは、これから準備致しますので到着をお待ちください。

 

今日は私たちがこだわっている「流通」について。実はプロモーションの要になるという点をお伝えさせていただきました。

お役に立ちますように・・・・

 

記事を書いたのは私:
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外国人観光客研究所のサイトにお越し下さり、ありがとうございます。
このサイトは 大阪初の外国人観光客向け多言語観光MAP「EXPLORER MAP  (旧EXPLORER OSAKA/旧 EXPLORER KYOTO)」の広告販売、及びインバウンドプロモーション、コンサルティングを手がける株式会社エースブリッジが運営しています。
外国人観光客研究所では、私たちが関わってきた店舗さま等の事例から、訪日外国人旅行者の集客方法、おもてなし、ニュース、インバウンドビジネスに関わる様々な情報を発信するだけではなく、普段の私たちの様子など私達らしい視点で、楽しく綴っています。インバウンドのお客さんをもっと身近に・・・日本らしさを楽しみながら、外国の方とも楽しく接していけるお力になれますように・・・。

ABOUTこの記事をかいた人

劉 賞美(Liu Shangmei)

高校卒業後、北京語言文化大学へ語学留学。
2002年より中国の国営貿易商社、中国中紡集団公司(北京市)の日本法人会社にてアパレル生産管理、中国工場管理、貿易事務、社内中国語講師担当。
当時一般客へのVISAが下りにくい中、出張で来日する中国人の通訳と観光のアテンドなども行う。
退社後は、中国語の個人レッスンをベースに2010年より中国語グループレッスン、日中語学交流会を現在も主催・運営しており、パナソニックセンター大阪にて中華圏の企業、行政機関向けのB to B通訳を担当。
また、高島屋百貨店にて訪日外国人を対象とした通訳アテンド業務を経て、株式会社エースブリッジに入社。
日々、外国人観光客を集客している店舗様へ足を運び、また時に外国人観光客や、在日外国人の生の声を聴き「今求められているモノ」を発信すべく、2010年より続いている「外国人観光客研究所」の所長に2017年7月より就任。